代理コードの基本
実際の楽曲はスリーコードだけで構成されるということはあまりありません。では「楽曲はケーデンスの組合せで成り立つ」というのは間違いなのか? そうでは無いのです。
代理コード
「I、IV、V (スリーコード)」以外のコードも、構成音、またはその特長が同じなどの理由から、それぞれ「T、D、SD」の「機能」を持つことがあります。これらを「代理コード」といいます。
ダイアトニック内の代理コード
ダイアトニックスケールコードは、全て代理コードとして使えます。
例えば、Cのダイアトニックスケールコードを例にとると、
Am7は、トニックコードであるC6と同じ構成音を持っているのでトニックの機能を持ちます。
Dm7も同じようにF6の構成音と同じなのでサブドミナントです。
Em7はC9のRootをomitした構成と同じでトニック。
Bm7-5はG7と同じトライトーンを持つのでドミナントとなります。(図10-1)
表にまとめてみましたので、ディグリーネームでしっかり覚えましょう。
機能 | スリーコード | 代理コード |
---|---|---|
トニック(T) | I | IIIm7 VIm7 |
ドミナント(D) | V | VIIm7-5 |
サブドミナント(SD) | IV | IIm7 |
ノンダイアトニックの代理コード
ダイアトニック以外のも構成音の似たコードで代理コードになるものがあります。
代表的なものをまとめてみました。
機能 | スリーコード | 代理コード | キーCの場合 |
---|---|---|---|
トニック(T) | I | #IVm7-5 | F#m7-5 |
サブドミナント(SD) | IV | IV7 VII7 #IVm7-5 ♭VIIM7 | F7 B7 F#m7-5 B♭M7 |
ドミナント(D) | V7 | ♭II7 | D♭7 |
サブドミナントマイナー
キーCメイジャーの中でFm(サブドミナントマイナー)のコードを使うことがよくあります。
サブドミナントマイナーの代理コードは、マイナー、メイジャー共通の代理コードとして覚えておいても良いでしょう。
ディグリーネーム | キーCの場合(Fmの代理) |
---|---|
♭VII7 | B♭7 |
IIm7-5 | Dm7-5 |
♭VI7 | A♭7 |
♭VIM7 | A♭M7 |
♭IIm7 | D♭M7 |
ツー・ファイブ
代理コードを使ったコード進行で最も重要なものにIIm7-V7のコード進行があります。
この進行は「ツー・ファイブ」と呼ばれ、頻繁に登場します。
(例えばDm7-G7)
これはIV-V7のIVの代理でIIm7を使っているのですが、ルートの動きII-Vが「強進行」になるためIV-Vの場合より進行がスムースになります。またV7を分割して退屈さをカバーするという考え方もあります。
代理コードのまとめ
- 代理コードもそれぞれT、D、SDの機能を持つ!
- 「ツー・ファイブ」は重要。良く覚えておこう。