オーティス・ラッシュの名盤感想
「ラッシュはコブラが最高やね!」
シカゴブルースファンは口をそろえて言う。
彼はムラのある性格なようで、のっている時の感情移入はすさまじいが、のっていない時は見ていられないと言われる。
そんな性格が祟ってか長いキャリアを持つラッシュだがレコーディングは意外なほど少ない。
数が少なく、その上当たり外れがある作品の中で飛びぬけて光っているのがこの「コブラ・セッションズ」なのだ。
コブラとは1956年発足した「コブラ・レーベル」のこと。
ウィリーディクソンに見出されコブラと契約した弱冠22歳のラッシュ。そのデビュー曲「I can’t quit you baby」はビルボード6位に入る大ヒットとなった。
シカゴの魂のこもった熱いブルースでありながら、モダン・ブルースの要素を取り入れたサウンドは、コブラの所在地をとって「ウエストサイド・サウンド」と呼ばれるようになる。
ラッシュがコブラに在籍したのはこの2年限りで、その後コブラ自体も倒産してしまう。
アルバート・キングと同じ変則レフティー(右用のギターをそのままひっくり返して使う)から奏でるグリグリの
チョーキング・ビブラートはその後も多くのファンを魅了し続け(時にはがっかりさせながら)ツアーでは何度も来日している。
前座を務めた日本の伝説のブルース・バンド「ブレイクダウン」の当時のボーカル近藤房之助も彼の虜になった一人だ。
彼は後年ライブアルバム「GO BACK TO DE BASIC THING」のMCでラッシュを「僕の先生」と呼び I Can’t Quit you Babeを熱唱している。(これがまた素晴らしい)
不遇の時代が続きレコーディングの機会にもなかなか恵まれなかったラッシュだが
94年に17年ぶりのアルバムとなる「AIN’T ENOUGH COMIN’ IN 」を発表。
98年には「Any Place I’m Going」で、 グラミー賞「最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞」を受賞という大復活を遂げている。
B.Bキングらとともに「生きるブルース伝説」となった彼の伝説たる所以をまずは「コブラ」で満喫していただきたい。
中期の名作。
1971年不遇といわれる中発表された快心の一撃。
やはりラッシュのスローブルースは別格だ。
1985年 サンフランシスコ・ブルース・フェスティバルの模様を収めたライブ・アルバム。
ご心配なく。この時のラッシュはノリノリです。(笑)