チャーリー・パットンの名盤感想
Charley Patton
チャーリー・パットンといえば3枚組のザ・コンプリート・レコーディングスが有名な音源なのですが、よほどのマニアで無い限り23曲も聞けばおなかいっぱいでしょう。
日本での彼の名前は「ロバート・ジョンソン」ブームに引きずられるような形で知られるようになったのですが、ロバートジョンソンを聞いて、「これぞ、デルタ・ブルース!」なんて唸ってるボーヤには恐らく彼のすごさは理解できないでしょうね(笑)かくゆう私めもパットンが好きで好きでたまらないという訳ではないですが。。。
当時はブルースマンといえどもブルースばかりでなくバラッドを歌ったり、スピリチュアル(お説教)があったり、テレビはもちろん、ラジオも普及していなかった頃のこと、求められれば何でもやっていたのでしょうね。
このCDもバラエティーに富んだ内容で当時のデルタの音楽というものを知るには貴重な音源だと思います。
まず聞いて欲しいのは “High Water Everywhere”。
この曲ではパウンディングという「ボディーを叩きながら低音弦をはじく」という謎の奏法で、大洪水で逃げ惑う人々の姿を再現しています。奏法への興味もさることながら、楽曲のストーリー性とアレンジという面でのレベルの高さに圧倒されますよ。
また、後の R&R の登場を予感させるノリのいいリズムのMississippi Boweavil
Blues や、いかにも「デルタ・ブルース」の Pony Blues など、特徴的な曲はしっかり収録されています。
最古に近い古い音源ですから音質の悪さは否めません。しかしチャーリー・パットンという大御所は、ブルース・ギターを深く知るためにどうしてもはずせないキーマンの一人といえますね。
パットン単独のCDではないですが、あまりにも有名でかつ手に入りやすいということでチョイスしました。
1930年といえばまだロバート・ジョンソンがレコーディングする前のこと。既にパラマウントに吹き込んでいたチャーリーパットンが、盟友サン・ハウスとウィリー・ブラウンらを引き連れてレコーディングした伝説のセッションです。
戦後「再発見」された後は特に絶賛されたサン・ハウスですが、当時は監獄を出たり入ったりでミュージシャンとしてはさほど名の知れた存在ではありませんでした。今となってはこの二人がセッションをしていたなんて夢のような話ですね。
ちなみにウィリー・ブラウンはロバート・ジョンソンのクロスロード・ブルースで登場する「あの」ウィリーではないかという説もありますが、真偽のほどは定かではありません。
伝説のデルタ・ブルース・セッション1930