ブルースのアドリブ
縦横無尽なアドリブはギタリストの最大の憧れ。でも、どんなすごいギタリストも最初から自由自在に弾きまくれたわけではないんです簡単なメロディーでも、とりあえず勇気を持って音を出すことが大事だと思います。
ブルースから始めよう!
アドリブを言葉で説明するのは難しい。突き詰めるとスケール論やコード進行法の話に落ち着いてしまう。
その点コード進行の決まりきったブルースはアドリブを始めるのに、うってつけの教材です。
スケールの話から、ちょっとはずれますが難しい話は置いといて、最低限こうすればなんとかなるという話をしましょう!(あんまり期待しないで…)
コードの構成音を使う。
ブルースに限らずどんなメロディーも落ち着く場所(音)へ戻ろうとする性質があります。
落ち着く場所というのは1曲を通して考えればその曲のキーのトニックコードのルート音(CのキーならCの音)。コード単位で考えれば、そのコードの構成音、特にルート音が一番落ち着くのです。
つまり、Eのブルースではコードに対応してE/E/E/E/A/A/E/E/B/A/E/Bの音を出していれば、はずすことは無い。
でもこれだけでは面白くもなんともありませんね。
では2番目に落ち着く場所は?
答えはそのコードの5度の音です。コードEならB、AならE、BならF♯になります。
その次が3度と7度の音。3度と7度は調性を決める音で非常に重要な音、つまりこの音を使うことでコードの持つ雰囲気を醸し出します。
ブルースの場合ブルー・ノートとの絡みがあって少し扱いが難しいのですが、ここを乗り越えないと「それらしく聞こえない」のです。
スケールを覚える。
上のようにコードの構成音を意識してメロディーを組み立てるものを「コーダル・ライン」と言います。
ブルースでは、「コーダル・ライン」を考えてプレイするというよりも、スケール上の音をたどっていると言った方が正しいかも知れません。
「スケール編その2」の繰り返しになりますが、まず「ペンタトニック・スケール」を覚えましょう。
特に6弦トニックのポジション(図3-1)をしっかり覚えればとりあえずOK!
その上でキーのトニック・コードのルート音(キーEならE)とドミナントのルート(同じくB)を確認しましょう。
11~12小節目のターンアラウンドでまとめる部分はドミナントのルートに向かって、それ以外はトニックのルートに向かう気持ちで弾くとまとまりが良くなります。
左図はキーEの6弦トニックポジション(1~3弦拡張) 緑色はトニック、赤はドミナントのルートです。 チョーキングは♭3、4、♭7が使い易い(音をはずしにくい)。
出だしの音はなんでもOK! わからなかったら1か5を使おう。さあ、カラオケに合わせて適当に弾いてみよう!
音を聞いてみる
実際には
理論的には上に書いたことは間違っていないのですが、では実際にギタリストはそんなことを考えながら弾いているのか?答えはノーです。
ブルース・ギタリストは一つ一つの音を考えるのでは無くてフレーズ単位で「この場面では、このフレーズを弾けば安心!」という手癖を持っているのです。
「どうすればアドリブができるのか?」とお悩みの初心者の方は、頭からオリジナルのメロディーを作ろうとせず、まず、たくさんのフレーズを覚えて場面ごとに引き出す練習をして下さい。1つのキーに絞ってたくさんのフレーズをコピーすることをお勧めします。覚えたフレーズがスケールポジションの「どの場所」を弾いているのか理解して、その上で自分流にアレンジすれば良いのです。
フレーズに困った時や、あれっ、ちょっとはずしたなという時、コードのルートや5度の音に戻る努力をすれば、とりあえずなんとかなりますから安心して弾きましょう!
アドリブは、小さな子供と一緒です。子供はお母さんが見えるところではキャッキャと遊びますが、お母さんが見えなくなると不安になって泣き出します。アドリブも、どんな音から弾き始めても帰る場所を覚えておけば心置きなく遊べるのです。
逆に言えば、「いかに遠回りして帰るか」というのが緊張感のあるアドリブの条件でもあります。親離れすることが成長の証というところでしょうか?